陶芸家・後藤耕一さんにつきまして

大晦日。

2017年を終える前に、
お知らせしておかなければいけな寂しいお話があります。
長くなりますが、
お気持ちのある方に読んでいただきたいと思いしたためます。

陶芸家の後藤耕一さんが
癌との闘いに終止符を打なたければならない日を迎え、
60歳の人生に幕を下ろす静かな眠りに就かれました。
12月19日の早朝でした。

昨年秋の個展は、彼の「生前回顧展を」という希望で開催し、
みなさまに今では遺作となってしまった
多くの器を手元に招いていただきました。
「自分が亡くなっても、器は誰かに愛され遺って欲しい」
との遺志を私たちが引受ける時がいよいよ来ました。

あれから、自作の薪窯を手直しされ、
夏の終わりにはお仲間の陶芸家さんの手を借りて、
器を焼くことができました。
薪を運ぶことも大変な体力の中でしたが、
焼きあがった器を愛しそうに撫でては、
「人生の中で今が最高に陶芸が面白いと思う。
できることならばまだ土を捏ねたいね。」
とおっしゃっていました。

秋が深まり、身体が厳しい状態になっても、
最期までご自宅で食事をし、体調が良ければ歩き、
亡くなる数日前にはご自分でお風呂に入り、身支度を整えたそうです。
管にも繋がれず、普通に暮らしを続けながら、
眠りに就いたままの最期だったと聞きました。
何と人間らしい最後でしょうか。
人には隠した多くの苦悩も辛さもあったことでしょうが、
「かっこ良く行きたいんだ。」
といって笑っていた後藤さんらしくて、
駆けつけて対面を果たした以降は、
ただ「お疲れさまでした」という言葉しかみつかりません。

あれから何度もの奇蹟が訪れましたが、
思えば、個展を開催できたあの時期は、
ラストチャンスだったのかもしれません。
あの時、病との闘い中であることを疑ってしまいそうになるほど
元気そうでふっくらとした笑顔を振り撒いていらした姿を、
みなさまに覚えていただけて良かったと思います。

陶芸家としての後藤さんと
最後にもご縁をいただいたギャラリーとして、
このことをお知らせさせていただきます。

個展からこれまでにたくさんのお話を重ねてきました。
「病気になって悪いことばかりじゃ無いよ。
新しく知った幸せもあるし、
自分の人生の最期をゆっくりと考えながら
生きられる時間をもらえたことも悪く無い。」
「医療の進歩のお陰で奇蹟は起こるんだよ。
怖がることはないんだってみんなにも言いたいね。」
そう話してくれたことは、
きっとご自身を鼓舞するための言葉でもあったのだと思いますが、
これらは確かに私が今後の人生を歩む上で
心の奥底にしっかりと落とし込まれたように感じています。

後藤耕一_C/S

後藤さん、素敵なご縁をありがとうございました。
何にでも興味深く少年のような心を持ったあなたですから、
きっと今頃は新しい世界での何もかもが珍しくて、
あちこちを飛び回っているのだろうと奥様と話していたところです。
少し飽きてきたら、たまにはこの世も覗いてくださいね。
十二ヵ月にコーヒーも飲みにきてください。
相変わらずコーヒーカップを使い続けますからね。
きっとたくさんのご家庭でも、
たくさんのあなたの器が使い続けられることでしょう。

またいつか会ったら、
その後の楽しい話をいろいろ聞かせてくださいね。
では、その時まで…。




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